仕事に必要なスキルは、議事録で身につく!!「もうできちゃったの!?と周囲も驚く先回り仕事術」(新井健一・ダイヤモンド社)

  • 調べながら仕事をしているから、時間がかかって仕方ない
  • 急に仕事を頼まれたから、残業するしかない
  • 会議が毎回同じ話ばかりで、話が進まない
  • 前にやった仕事を、次の仕事に活かせない
  • 今何をやっているかよくわからない

こうした悩みを抱えている人は、実はその人たちに責任があるのではなく、これまで「正しい」と先輩たちから教わってきた仕事の進め方が時代に合わなくなっているからだ、と本書の冒頭で著者は言います。

かつて、外資系コンサルティング会社で働き、入社2週間でクビ宣告された著者が、それまでの働き方=「上司から言われたことをそのままやるだけの仕事」、「後追いの仕事」を全て捨てて、

「自分で考えた方法で、誰よりも速く、予定通りの成果が出る」

その方法=「先回り仕事術」をまとめたのが本書。

もうできちゃったの!?と周囲も驚く!先回り仕事術

「先回り仕事術」とは、「仕事の結果」に先回りして、そこから逆算してやるべきことを積み重ねていき、結果的に最短ルートの方法で仕事すること

そして、仕事の結果に先回りするためには、仕事の進め方に一定のルールややり方が必要だと言います。

先回り仕事術の6つのスキルとは

著者はそれを、「6つのスキル」としてまとめ紹介しています。

  1. 議事録
  2. 勉強法
  3. 部下力
  4. ミーティング術
  5. スケジュール術
  6. プロ思考

です。

それぞれについて章をおこして詳述しています。

1番目に「議事録」と聞いて「え?」となりました。

しかし、第1章、仕事の全体像を先取りして、最速で成果を上げる「プロフェッショナルの議事録」を読んで、なるほど!と膝を打ちました。

議事録こそ、職業人としての最高のトレーニングツール

議事録を書くためには、

  1. まとめる力
  2. 社内・業界用語を理解する力
  3. 資料を読む力
  4. 問題解決力

がないと書けない。

そして、この力があれば、会社のどのような仕事でもこなすことができるし、たしかな成果を上げることができるから。

発言者の言葉を時系列に沿ってそのまま書き連ねているだけなら、それはただのテープ起こし原稿ですよね。

議事録が満足に取れるとは、

  1. 自分がやるべき仕事を理解している
  2. 論理的に物事を考えることができる
  3. 伝えたいことを、上手に伝えることができる

ことに他なりません。

クビ宣告された時の著者の議事録は、

  1. メンバーの発言をただメモし、それを時系列で並べている
  2. ところどころ言葉を補っているが、参加者以外は理解できない
  3. 話している内容が行ったり来たりしていて、結論がわからない

ものだったそうです。

それに比べて先輩コンサルタントの議事録は、

  1. 特有の言葉には、初出で単語そのものの定義や意味を書き足す
  2. 指示語や代名詞は、本来の製品や人名などに書き換える
  3. 話し言葉の主語や述語、目的語を補う
  4. 行き来する議論を入れ替えて、論理的な文脈にする
  5. 同じ論点の議論をまとめ、見出しをつける

という特徴が。

文章の分かりやすさは、論理能力の高さを示す

特に、②③④は、論理的な日本語を組み立てる作業であり、論理的思考力を鍛える作業

意味不明な文章を、意味が理解できるものに変えるために、著者がしている5つのステップが次のもの。

  1. 主語と述語を明確に対応させる
  2. 接続詞を多用しない
  3. 一文は3行で収める
  4. 代名詞や指示語は、本来の名詞に置き換える
  5. 文章の前後関係を意味が通るように入れ替える

著者が先輩コンサルタントから言われた言葉、「コンサルの仕事は議事録に始まり、議事録に終わる」

なぜなら、議事録の作成過程が、問題解決のプロセスそのものだから。

  • 会議の目的を理解している→現状把握
  • 会議のポイントを書き起こせる→問題整理
  • 会議の結論がどうなったか、次に何をするかがわかる→問題解決

いやはや、議事録を軽視してました…。

振り返ってみるに、自分がこれまで作ってきた議事録は、果たして議事録と呼べるものだったのか…。

これからに活かしたい。

勉強法、部下力、ミーティング術、スケジュール術、プロ思考……残りの5つのスキルも、ぜひ身に付けたい。