誰でも使えて成果が出る 外資系コンサルタントの仕事術 (井上龍司著・明日香出版社)

今回は、「誰でも使えて成果が出る 外資系コンサルタントの仕事術」(井上龍司著・明日香出版社)のご紹介。

誰でも使えて成果が出る 外資系コンサルタントの仕事術 (井上龍司)

 

Amazon内容紹介より

コンサルタントが実際に使用している仕事術を、 中小企業から大手企業のビジネスマンが使えるようにわかりやすく50項目でまとめました。
外資系やコンサルと聞くとハードルが高く、小難しいことをやっていると思いがち。
しかし、基本的な技術や考え方は誰でも使うことができます。
「有用だけどとっつきにくいノウハウ」をシンプルにわかりやすく解説。
図版も多く使用し、より理解できるように工夫しています。
今までやってきてた仕事のやり方に、ほんのちょっとプラスαして、仕事が正確に効率的にできるようになります。

目次

第1章 品質とスピードを両立する、コンサルタントの 思考力
第2章 読み手の心を動かす、コンサルタントの 文書(資料)作成力
第3章 聞き手の心を動かす、コンサルタントの プレゼン力
第4章 ビジネスを加速させる、コンサルタントの 会議力
第5章 顧客や上司との信頼関係を深める、コンサルタントの コミュニケーション力
第6章 成果を上げるチームを作る、コンサルタントの マネジメント力
第7章 人の倍の報酬をいただく、コンサルタントの 心構え

やってみようと思った点など

 表紙の帯に「コンサルが使うノウハウやテクニックを中小企業から大手企業まで使えるように『とにかく、やさしく翻訳』しました」とありますが、まさにその通り。
「翻訳」、すなわち、非常にわかりやすくかみ砕いた本となっています。

「コンサルが使うノウハウやテクニック」を思考力、文書(資料)作成力、プレゼン力、会議力、コミュニケーション力、マネジメント力、心構えの7つに分け、それぞれに1つの章をあててやさしく解説してくれています。

今回はその中でも、明日から早速やってみようと思った3つのポイントをご紹介します。

①資料を作成する時は、「完成度10%」の時点で上司に見せる

どれくらいの頻度でチェックポイントを置くかは、作成者のスキルや仕事の内容、ボリューム等により変わってくるが、ぜひおすすめしたいのは「完成度10%時点」で、いったん上司にチェックしていただくこと。
10%というとほとんどできあがっていない状態だが、そのあとを方向づけるさまざまな情報が見出せる。

例えば、ぺージ数の多い文書では、まず「目次」を作る。目次を見れば、どのような構成・ストーリーで、どのような情報を入れようとしているかが、大まかに分かる。この時点で上司がイメージしたものになっていなければ、最終形がイメージどおりになるはずがない。

文書の構成や伝えたいことを簡単にメモした状態で、まず上司がイメージした通りかを確認する。

これはなるほど!!と思いました。

社会人になると、いろんな文書を作成しなければなりません。
上司に言われ、必死で作った企画書や会議資料を「俺が思っていたのと違う!!すぐにやり直せ!!」などと言われた経験は誰もが持っているのではないでしょうか?

全部自分でやらなければならないなんて気負う必要はないのです。
逆に自分で抱え込んでしまうから、時間もかかり上司が期待する内容からどんどんかけ離れていってしまうのだと。

仕事を指示された時点で、いついつ頃に大まかな構成をお見せしますのでチェックをお願いできますかと相談しておく。
途中でチェックポイントを設定してチェックしてもらう。中間チェックですね。こうすると、上司も確かに安心でしょう。

②会議でホワイトボードに書いておくべき「3つの箱」

会議は「金食い虫」。漫然と進めても望む結果は得られない。
発言や議論を促し、脱線を回避し、納得のいく結論にまとめ上げる技術(ファシリテーションスキル)が求められる。

誰でもすぐにできるファシリテーションのテクニックは次の通り。

ホワイトボードに次の「3つの箱」を書いておく。

ホワイトボードに置く「3つの箱」
(1)論点:その会議で議論するテーマ。
論点は「具体的な疑問文」にすることがポイント。
例えば、「新しい店舗は新宿に出すべきか、それとも渋谷に出すべきか」のように記す。

(2)結論:議論を経てたどり着いた結論を記載。

「新店舗は渋谷に出すことにする」のように、結論が論点の疑問文に対する答えになっていることを確認する。

(3)宿題:結論を実現していくために必要な行動(または結論が出なかった場合に、次回結論にたどり着くために必要な行動)を記載する。

宿題には「何を」の他に、「誰が」「いつまでに」の要素が必須。「誰が」が決まっていなければ、誰もやってくれない。

「いつまでに」が決まっていなければ、いつまで経っても進まない。

 

この3つの箱を用意した上で、「論点」を記載して会議を始める。

議論を経て、「結論」と「宿題」が埋まれば会議は終了となる。

なるほどですね。

確かにムダな会議が本当に多いと感じます。
あまり意見も出ずに、イヤな空気が流れて結局何も決まらずに終了なんて最悪ですよね。

本書にもありましたが、私は会議には「たたき台」があるのが当然だと昔から思っていました。

学生の頃から、会議といえば、主催者がレジメを用意し、その中に議題と提案事項があって、レジメに沿って検討していく、そういうものだと思っていましたが、社会人になってそうではない会議が多いことに愕然としました。

提案者がきちんと自分の頭で「たたき台」を作って会議に出して、それを元に議論をする。その「たたき台」が具体的で考え抜かれているものであればあるほど、議論も建設的となり、短時間で結論が出やすいと思います。

何もないまま「○○はどうしましょうか?」などと会議でいきなり出されても、具体的でないものに対してなかなか意見なんて出るものじゃありませんよね。

著者の言うようにホワイトボードに書き出して、全員がそれを元に議論をしていくやり方は、とても有効だと思いました。

 

③聞き手が知りたい「内容」と「順番」で話す

ゴルフをしない方に「ゴルフ上達法」をプレゼンしてもなかなか聞いてもらえないが、「ゴルフ好きな上司や顧客と話を合わせる方法」をテーマにしたら興味を持ってくれるはず。

飽きさせないプレゼンをするためには、「皆さんが話したいテーマ」を押しつけるのではなく、「聞き手が知りたいテーマ」を話す必要がある。
そして、そのためにあらかじめ聞き手の立場や状況を見つめ、何を求めているかイメージする必要がある。

「聞き手」と「テーマ」を押さえたら、次は「伝え方」。
聞き手が知りたいテーマを選ぶのに加えて、聞き手が知りたい「順番」で話すことが肝心。

思いつくままに情報を並べるのではなく、聞き手と対話するかのように、情報を配置していく。

例えば、「結論⇒理由⇒具体例」の順番にう話しましょう、とよく言われる。
それは、この順番が聞き手の知りたい順番になっているから。

プレゼンが始まると、聞き手はまず「この人は何を主張したいのだろう?」と思うはず。
だから「主張」を最初に述べる。
そして、主張を聞けば「なぜそう思うのだろう?」と考える。
だから「理由」を述べる。

そして、理由を聞けば「例えばどういうことだろう?」と疑問を持つ。
だから次に「具体例」を話す。

相手の状況や立場をよく考えて、相手が「何を知りたいと思っているか」を考え、「知りたい順番で話す」ことで興味を引き、心を動かす—いやぁ、わかっているんですけどね、難しいですよねぇ。

最後に

「あとがき」で著者は述べています。

一説によると、本書のような書籍を読んだ後に、その内容を本当に実践する方の割合は7%前後しかいないそうです。ということは、読んだ内容を本当に実践していけば、他の93%の方と差別化できるということです。

∑o(*’o’*)o ウオオォォォォ!!
本書で得たアイデアを試して「7%側の人間」になれるかどうか…。

難しいことではない、ただ、「やってみるだけ」。

いや、それが一番難しい……なんて言えなくなりました。

 

本書の最後に、「より深く勉強したい方のための参考書籍・動画一覧」が掲載されています。