タイトルからして衝撃的(笑)
暴言を吐くヤツ、仲間をいたぶるヤツ、卑劣なヤツ、人をこきおろすヤツ、他人をいじめて楽しむヤツ…こういうクソみたいなヤツらをひとことで言い表すなら…。
「アホ。」
そうだ。この言葉がふさわしい。(P10.)
こういうのは、スタンフォード大学の教授で、組織行動論や組織管理論を研究しているロバート・I・サットン氏。
同時にこれらをベースとした「アホ」の研究も行っているそうで、そのせいで最近は「アホ先生」と呼ばれることが多くなったのだとか(笑)
本書では、研究成果とともに、教授のもとに送られてくるクソみたいなヤツに苦しめられて助けを求める何千通というメールも参考にして、卑劣なアホどもへの対処法、アドバイスをおこなっています。
超具体的なテクニック満載。
スタンフォードの教授が教える職場のアホと戦わない技術
第2章から6章までは、アホへの具体的な対処法が示されてます。
まず、第2章では、6つの質問に答えることで、私たちの「アホ問題」がどれだけ深刻なのかがわかるようになっています。
あなたの「アホ」被害度(重症度)チェック
「アホ問題」に立ち向かうためには、それが自分にとってどれくらい深刻かをまず知ることが大事。知ってこそ、対策ができるから。
6つの質問とは。
- あなたは職場でゴミ扱いされていると感じているか?
- 不愉快な状況はずっと続いているか?
- 相手は一時的な「アホ」か、それとも「ホンモノのアホ」か?
- アホは1人だけか、それとも組織全体が病んでいるのか?
- あなたにアホを上回る権力はあるか?
- アホなヤツにどれぐらい苦しめられているか?
チェック1 あなたはゴミ扱いされているか?
何をされたかという行為ではなく、どう感じているかという気持ちに焦点を当てること。
同じことをされても、ある人にとっては腹が立ったりする行為が、別の人にはどうでもいいことで、すぐに忘れてしまうこともあるため。
チェック2 不愉快な状況はずっと続いているか?
一度きりならそのうち気にならなくなるかもしれないが、毎日イヤな目にあっているとしたら身を守るための対処法を考える必要あり。
ひどい目にあっている期間が長ければ長いほど、標的にされた人が受けるダメージは大きくなり、その影響も長引いてしまう。
チェック3 相手は一時的なアホか、それともホンモノのアホか?
普段は温厚ないい人が、一時的にイヤなヤツになっただけであれば、そのままやり過ごす、何も言わずにそのままその場を離れるのがベストな対処法。
きっとそれは、何かツライことでもあって精神的に参っているサインなのだろう、とでも思えばいい。
意地の悪い「札付きのアホ」で絶えずあなたを苦しめているのであれば、問題は深刻。
「札付きのアホ」とは、他人を傷つけ、おとしめても平気でいられるヤツ、私たちの気力を奪い、憂うつな気分にさせるヤツのこと。
チェック4 アホは1人だけか?それとも組織全体か?
アホが1人または少数で、他がまともな人たちなら支えてくれる力強い味方がいるからまだマシ。
しかし、アホな態度は驚くほど伝染しやすい特徴がある。不機嫌になったり、人を侮辱したりする態度は、あっという間にまわりに広がってしまう。
組織全体にアホが広がってしまうともはや逃げ場はなく、もしかすると、自分自身もまわりに影響されて気づかないうちにアホになっているかもしれない。
チェック5 あなたに権力はあるか?
相手が1人で味方もなく、あなたに権力があるねら、仕事を辞めるのも、アホなヤツを追い出すのも簡単なので、あなたがすべき選択肢は沢山ある。
逆に相手の方が力が上で、アホなヤツが存分にあなたを痛めつけることができるのなら、対策を注意深く考える必要がある。
チェック6 アホにどのくらい苦しめられているか?
アホのせいで体調を崩したり、憂うつだったり、不安にさいなまれていたりするなら、何をおいても対処法を考えたほうがよい。
以上のチェックリストをもとに、第3章からは具体的な対処法が紹介されています。
第3章では、「逃げるススメ」。どうやって逃げればいいか。
第4章では、「かわし方」。逃げられない場合、どうやってアホなヤツと会う頻度・期間・濃度を減らせばいいかのテクニックを。
第5章では、物の見方を少し変えて、アホなヤツから受けるダメージを少なくする方法。
第6章では、効果のある反撃法。
第7章では、「性悪なアホをのさばらせない」ことの大切さについて、説明されています。
ここでは、第3章の「アホとは戦うな 『逃げろ』」から一部だけご紹介します。
アホとは戦うな 「逃げろ」
①アホを前にした時、断固逃げるべき
ひどい上司や同僚がいても、逃げようとしない人がたくさんいる。
「仕事を辞めるほど状況はひどくない」とか、「この仕事は重要で、それなりに満足感もある」など、何かと理由をつけて耐えている。
アホ問題が深刻で苦しんでいたとしても、それほどひどくないと思い込み、早く逃げることの大切さにも気づけないでいる人が多い。
それはなぜか?
慣れとゴマカシがあるから。
まずは「慣れ」
人を罵倒するアホや冷酷な態度をとるアホというのは悪臭みたいなもので、初めは不快に感じても、いつしか慣れてそのひどさに気がつかなくなるか、気がついてもあんまりこだわらなくなる。
次に「ゴマカシ」。
自分にウソをついて、自体がどれほど深刻か、という事実から目をそむける。
苦しい状態がこの先ずっと続きそうなことにも、そのせいで、痛手を受けていることについてもフタをしてしまう。
それを確かめるためのチェックリストが以下。
1.「状況はそんなに悪くない」と感じている
本当はひどい目にあっているのに、現実を否定していないか?
2.「状況は改善しつつある」と感じている
自分の希望的観測であって、自体は変わっていないか、悪化してはいないか?
3.「そのうち事態はよくなるはず」と感じている
事態がよくなる根拠はあるのか?むなしい期待ではないのか?
4.「大事な仕事が終わったら辞めよう」と感じている
決断を先延ばしにしていないか?人生はゴタゴタ続きなので、完璧な時を待っていたら、いつまでたっても辞められない。
5.「多くを学び緊密な関係を築けている。罵倒も悪くない」と感じている
罵倒に耐えてダメージを受けてまで学ぶ価値があるものとは何か?ひょっとしてあなたまでイヤなヤツになってはいないか?
6.「事態をうまく収められるのは私だけで私の代わりはいない」と感じている
もしあなたに、あなたにそんな力があるのなら、事態はとっくに良くなっているのではないか?あなたには事態をどうすることもできないのではないか?アホ問題の対処には、あなた以外の適任者がいるのではないか?
7.「確かにひどいヤツはいるが、私は強く苦しんでいない」と感じている
そう思っているのは自分だけで、はた目から見たら十分苦しんでいると見えているかもしれない
8.「確かに職場はひどい。でもオンとオフを切り替えているから、家族や友人には八つ当たりしていない」と感じている
果たして、家族や友人も同じように思っているのだろうか?
9.「苦しいが、もっと苦しんでいる人もいる。文句は言えない」と感じている
それは、ひどい職場にとどまっている言い訳ではないか
10.「ここはひどいが、よそはもっとひどい」と感じている
もちろんもっとひどい職場もあるだろう。でも、探して見てことがあるだろうか?これも言い訳ではないか?
②「異動」という逃げ方もある
もし、組織内で異動できる選択肢があるなら、辞めるよりむしろ異動もあり。
③「ちょい逃げ避難経路」を確保する
異動の場合、どれだけ逃げてもどうしようもないアホと顔を合わせる場面はどうしても出てくるもの。
その時、もしもそのアホと口論になりそうになったら、少しの間その場から離れること。
「85歳になる母親にちょっと電話しないと」
など、できるだけそこから離れる言い訳を用意しておく。
④「最後にひとこと言ってやる」はムダ
アホから逃げるときは、くれぐれも穏便なやり方を取るべき。
アホはしょせんアホ。
アホなヤツは、他人の悪口は言いまくるくせに、自分が非難されるとすぐにキレる。
アホなヤツに面と向かって言い立てるのは危険行為。反省などみじんもしないで逆ギレし、仕返しに走ろうとしたり、自分だけでなく他の仲間にその怒りが向かうかもしれないから。
余計なことは言わずに、さっさと地獄から脱出すべき。
この他にも、いろんなアドバイスが満載です。
ビックリしたことを1つだけ最後にご紹介。
あるテクノロジー企業の社員2000人の追跡調査。
ある社員の半径7.6メートル以内に「有害社員」が座っていると、その社員も「有害社員」になってしまう確率は、倍以上(112.5パーセント増)になった。
札つきのアホと席が近いと、アホに感染するリスクが劇的に高まるんだとか(笑)
また、複数の「有害社員」に囲まれていると、その人まで有害な行動を取りやすくなり、解雇されるリスクが150%も高くなっていたそうです(^◇^;)
まとめ
まぁ、とにかく、すごい本だなこれは。
「アホ」って言葉何回出てきたんやろ(笑)
あなたは、「アホ問題」に苦しんでませんか?
そして、「大したことない」とか、「なんとか対処できる」とか、自分をごまかしてませんか?
一度、ぜひこの本を読んでみてください。
そして、対処してみてください。
近くに救いようのない「アホ」がいるあなた。
この本を読み終えてなお、「自分は大したことないな」と思ったのだとしたら…。
おめでとうございます。
もうすでに、あなたも救いようのない「アホ」の仲間になっています(笑)
最後に重要な注意点。
それは、他人をすぐさま「アホ認定」してはいけない 、ということ。
人というのは、自分の短所やミスには気づきにくく、気づいても自分のことは大目に見てしまいやすいから。
問題が起きて、たとえそれが自分のせいでも、他人のせいにする傾向があるから。
なので、もし、「あんなひどいことをするなんて、あいつは性悪なアホだ」と怒っている自分に気づいたら、次の呪文を心で唱えたらよいとのこと。
それは、
「他人のアホ認定は慎重に。自分のアホ認定は率直に」。
ただ、間違いなく、性悪な「アホ」は、今日もなお世界中に存在しているのは間違いありませんが。