いやはや、面白かった!!
小野美由紀さんの衝撃と希望の人生格闘記、「傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」 (幻冬舎文庫)を読み終えました。
▲画像はイケダハヤト氏「まだ東京で消耗しているの?」同時代をグロテスクかつ鮮烈に描く作家「小野美由紀」を知っているか。彼女の文章は人を「救う」力を持っているより
衝撃的でココロに響く表現の数々にマイッタ!! 「傷口から人生−メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」小野美由紀著。
Amazon内容紹介より
過剰に教育的な母に抑圧され、中3で自傷&不登校。大学に馴染めず仮面浪人。
でも他人から見てイケてる自分でいたくて、留学、TOEIC950点、インターン等々。無敵の履歴をひっさげ大企業の面接に臨んだ。なのにパニック障害に!
就活を断念し、なぜかスペイン巡礼の旅へ。つまずきまくり女子は、再生できるのか? 衝撃と希望の人生格闘記。
目次
プロローグ
要らないものを捨てる旅
ダサい自由、かっこいい自由
特別になりたい?
魂の速度
私たちは再生する
その努力は誰のため?
死ぬまでモラトリアム?
毎日が休日だと思える仕事
他人のものさしに傷つかない方法
ネガティブはエネルギー
私はいかにして、自傷をやめたのか
六本木のまんこ
未解決人間
恋愛やくざのしっぺ返し
a part of crew
聖地にて
飲み会が嫌で嫌で仕方がない
母を殴る
不完全家族の履レキ書
「ひきこもり」の効能
恨みの代償
風呂なし生活のすゝめ
やりまんにならない勇気
「仕事」がわからない人に
私が引き込まれた言葉の数々です。
読み進めば読み進むほど、その内容と珠玉の表現にグイグイと引き込まれていきますよ。
もう私の感想とか余計な言葉など書くのも野暮。
以下、引き込まれた言葉たちをいくつかご紹介します。
「自信」の溜め方
「いいかい?自信っていうのは、ある日突然湧き出るもんじゃないんだよ。溜めるものなんだ。君は、言葉の溜まる見えないバケツがあると言ったね。自信も同じだよ。」
母を殴る
「私が溜め込んだタンポンをいかに売買しているのか、その話をしている時に母は直角に回転した。そのとたん、母とのあいだにだぁんと厚さ50センチのガラスの壁がふってきて、私の声はもう、彼女には届かない。
家族ってなんだろう。
私にとってそれは長い間、巨大な謎だった。
今からその謎を解いた話をする。このことは思い出すだけで、両肩がダルくなる。けれど、私はこの話も、しなければいけないように思う。
ある日、私は母に成績のことでなじられていた。高3の夏休みだった。母は私が受験の模試でB判定だったことにハラを立てていた。あんたに教育費いくらかかってると思ってるの、お母さんどれだけあんた育てるのに苦労してると思ってるの。母の毎日繰り返される洪水のような罵倒に私はそろそろ耐えられなくなっていた。」
「私は殴った。母を殴った。初めて、母と私の皮膚が触れた。拳の先と、母の頬。人生で初めて、母に触れた気がした。母の身体に触れることが、怖くてこれまで、できなかった。抱きつくことも、甘えることもできなかった。幼稚園以来に触れた母の皮膚はやわらかくて頼りなげだった。老婆の皮膚だった。瞬間、うろたえた。母はいつのまにか老いていたのだ。私よりもずっと弱い老婆に。これまで抱いていた、恐ろしくて憎い母のイメージが、現実の熱さに触れてどろどろと溶けてゆく。同時に時間と距離とが、混線して、バーチャルな世界を見せる。」
魂の速度
「自分の、魂の速度で生きることなのよ。魂は、心と身体の一致したところにある。心が先でも、身体が先でもだめ。重要なのはね、あなたがあなたの速度で生きることなのよ」
「自分のペースを守りなさい。そうすれば、ある時、自分のペースと、社会のペースが、かみ合う時が、必ず来るから。ミユキ、心配しないで。あなたが歩いているのはね、他の誰でもない、あなたの道なのよ」
この他にもたくさんあります。
グロくて衝撃的で素直で。
いやはやウマイ。
グイグイ引き込まれていきます。
これは何度も読み返したい、読み返すたびに発見のある本です。