いやぁ、一気に読みました!!
気がつけば、自然に涙が流れていました。
働くとは何か?
幸せとは何か?
生きる喜びとは…。
心の奥底にまで染み渡る町工場を取材したノンフィクション。
超オススメの名著です!!
働くとは何か?幸せとは何か?ー生きる喜びを噛みしめた一冊!!「虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡」(小松成美著・幻冬舎)
社員の7割が知的障がい者のチョーク工場が”日本でいちばん大切にしたい会社”と呼ばれるその理由とはー。
家族の宿命と経営者の苦悩、
同僚の戸惑いと喜びを描いた感動のノンフィクション。「彼らこそ、この会社に必要なんです」
帯からの引用です。
本書で取り上げているのは、知的障がい者を雇用する先駆け、そして「日本で一番大切にしたい会社」と言われている「日本理化学工業」。
神奈川県川崎市にある町工場で、チョーク製造では国内トップのシェアを誇っています。
なかでも「キットパス」は窓ガラスや金属に書くことができる「落書き用のチョーク」として、子どもたちに大人気。
82人の社員のうち、7割が知的障がいを持っているというのも驚きですが、現場の製造ラインで働くほぼすべての従業員が知的障がい者だとのこと。
人としての幸せは何か?
今の大山泰弘会長が、父が社長を務める日本理化学工業に入社して3年ほど経ったときのこと。
養護学校の先生が「卒業する生徒を雇ってほしい」と訪ねてきたのがそもそもの始まりだったそう。
最初は「責任を持てない」と素気なく断った大山会長でしたが、諦めずに何度も足を運んでくる先生の次の言葉が、胸に刺さりました。
「卒業後、就職先がないと親元を離れ、一生施設で暮らすことになります。」
「働くという体験をしないまま、生涯を終えることになるのです。」
「就職は諦めましたが、せめて仕事の体験だけでもさせていただけないでしょうか。
私はこの子たちに、一度でいいから働くというのはどういうことか、経験させてあげたいのです。」
その熱い思いを受けて、2週間の期限で15歳の卒業予定の少女2名を預かった大山さん。
彼女たちは想像を超えてよく働きました。
始業時間より1時間も早くきて、雨の日も風の日も玄関が開くのを待っている彼女たち。
チョークを入れる箱を組み立てたり、ラベルのシール貼りを時間を忘れて行う2人。
「福祉施設にいた方が、楽で幸せで守られているのに、なぜ彼女たちは懸命に働くのか…。」
「ミスをして従業員から怒られて、『もう来なくていいよ』と言われると『嫌だ』と泣いている。『会社で働きたい』と言う。それが不思議で仕方なかった」という大山さん。
このまま障がい者を雇い続けるのか
チョーク工場で働いている彼女たちは本当に幸せなのか…
障がいのある人に仕事をさせるのが正しい道なのか…
こうした疑問を払拭することになったのが、ある時に出向いた法事の場で禅僧から聞いた「人間の究極の4つの幸せ」という話だったそうです。
それは、
- 人に愛されること
- 人に褒められること
- 人の役に立つこと
- 人から必要とされること
「大山さん、人に愛されることは、施設にいても家にいても、感じることができるでしょう。
けれど、人に褒められ、役に立ち、必要とされることは、働くことで得られるのですよ。
つまり、その人たちは働くことによって、幸せを感じているのです。
施設にいてゆっくり過ごすことが幸せではないんですよ。」
その瞬間から大山会長は、「一人でも多くの障がい者を雇う会社にしよう」と思ったのだそうです。
働くことは生きること。
生きる喜びを実感するために働く。
私も、まさに、「目からウロコ」でした!!
働きやすくするために
健常者が「こうやるべきだ」とその方法を画一的に教えていては、障がいを持った彼らが、その力を思う存分に発揮することはできません。
障がいを持った社員一人一人の理解力に合わせて工夫することで、彼らの持っている力を引き出すことができたのだと言います。
時計が読めない人には砂時計を設置して、一つの作業が終わる時間に合わせて砂の量を変える。
原料を入れるバケツの色をそれぞれ異なる色にして、入れ間違いのないようにする。
それぞれの理解力にあわせて作業工程を設計し、温かい目で見守れば、彼らは健常者と変わらない能力を発揮する。さらに褒められれば喜びを感じ、向上心を持つ。
健常者の社員がそのことに気づき
「どうしてできないんだ」ではなく
「どうすればできるんだ」と考えて常に作業の改善をはかっていったことで、彼らが会社の主戦力に変わったと言います。
まとめ
本書には、知的障がいをもつ従業員の生き生きとした姿が綴られています。
また、それだけではなく、家族の苦悩や苦しみ、この会社と出会ってからの喜びや幸せなど、障がいとともに歩んだ親子の物語もちりばめられています。
「働くとはなにか」
「生きる喜びとは何か」。
読み終わった後、心の中を爽やかな風が通っていきました。
この本が、明日からの幸せのヒントを与えてくれました